カスタマーエクスペリエンスの向上、CI/CDの採用、DevOpsプラクティスの強化のために、品質エンジニアリングとソフトウェアテストに注目する組織が増えると予測される2023年。品質管理チームにとって大きな年になることが期待されます。この期待に応えるために、QAリーダーはチームのスキルアップ、自動化の採用、テストの開発パイプラインへの統合を実践していくことが必要とされています。

DevOpsにおけるテストの実態

mabl2022年DevOpsにおけるテストの実態調査報告書 では、600名近くのソフトウェアテスター、QAマネージャー、開発者、エンジニアリングリーダーから、ソフトウェアの品質とDevOps採用についての最新データを集めました。DevOps におけるテストの役割と影響にフォーカスしたこの報告書から、2023年にDevOps とソフトウェア品質がどう進化していくかが予測できます。

主要トレンド:

安定したDevOpsの採用状況:企業が DevOpsへの移行のどの段階にいるかを調べたところ、その割合は2021年と2022年の間で目立った変化はありませんでした。DevOpsを「完全採用」したと考える組織がわずかに増えていた一方で、「ほぼ採用」および「移行予定」であるとする組織が減っています。両年で唯一割合に変化がなかったのは、部分的にDevOpsを導入している「移行中」の組織でした。

DevOpsの成熟度を示す開発パイプラインの自動化:自動化と DevOps の導入には密接した関連性があります。DevOps へ移行予定とする組織では開発パイプラインの自動化が限られており、移行中の組織では重要なフローワークのいくつかがすでに自動化されている傾向にありました。DevOpsの導入がほぼ完了している組織の45%ではパイプラインもほぼ自動化されており、完全導入がすんでいる組織の41%では開発パイプラインも完全に自動化されています。

加速化するデプロイ頻度:調査対象者の75% が「全体的にデプロイ速度が上がっている」と答えており、その加速化がDevOps と自動化に大きく影響していることが分かりました。DevOpsを完全導入している組織の43%は、デプロイを毎週もしくは隔週行っており、毎日もしくは1日に複数回行っているチームも18%ありました。逆に、DevOpsの成熟度がまだ低いチームのデプロイ頻度は、1ヶ月に一回、また四半期に一回となっています。

この報告書から、組織のサイズやDevOps成熟度を問わず、QAリーダーたちが2023年にテストプラクティスを向上させようと考えていることが分かります。

品質の文化を成熟させるには

自社製品の品質に対して、組織で共通する意識と責任感を持っている組織には「品質の文化」が存在していると言えます。テストは開発プロセスに深く組み込まれており、全体的なテストの戦略と実行には、多様な役割の人たちがたくさん関わることが求められます。DevOpsプラクティスの成熟と開発パイプラインの自動化を進める組織が増えるにつれ、変化し続ける開発組織としてユーザーに高品質のソフトウェアを届けるためにQAが担う役割がますます大きくなるでしょう。

DevOps におけるテストの実態調査報告書から、開発組織の中におけるQAの位置付けと品質エンジニアリングとの強い関連性が分かりました。「テストカバレッジが高い」と答えたのは、QAは非常に重要であると考える組織の67%で、QAが重要ではないとするチームはわずか33%でした。テストの成功を測る主な指標であるテストカバレッジは、顧客満足度および開発者の体験向上に強く影響することがわかりました。

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QAチームと開発チームとのコラボレーションは、品質の文化をつくる最良のチャンスです。QAチームがエンジニアリングチームに簡単にデータを共有できれば、開発者たちは問題調査に費やしていた時間を実際の問題解決に使うことができます。同時に、大切なプロセスをストリームライン化することで新機能リリースに向けて作業を進めるチームの効率が上がり、QAチームは新しいコードをテストすることに多くの時間をかけられるようになります。

このような背景から、2023年、組織におけるQAの価値がますます貴重になることが期待されます。その実例として、SmugMugがいかに品質の文化を築いたか、それが開発全体にどう影響したのかをご覧ください。

CI/CDパイプラインにソフトウェアテストを統合

テストは、パイプラインの自動化と開発サイクルの加速化を妨げる要因として見なされることがよくあります。しかし、効果的に導入されたテストは、顧客が求める品質での新しいデプロイを保証するためのCI/CDのガイドとして役立ちます。DevOps におけるテストの実態調査から、2023年には、このトレンドが勢いを持つことが予測されます。

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自動化とテストカバレッジは、組織の開発パイプラインの改善と強く相関しています。自動化への意欲が高まるにつれ、シフトレフト、シフトライト、継続的テストなど、より多くの組織が自社の開発パイプラインにテストを統合することの重要性に気づき始めています。手動テストから自動化された開発パイプラインへ移行するという Friend of mablmablユーザー)のジャーニー(取り組み)は、長期にわたるソフトウェア開発ライフサイクルの一部として品質を保証できるテストソリューションを慎重に見極めるところから始まりました。エンジニアリング部VPMilos Sretinは、「最も大切なことの一つは、なるべく早くフィードバックを得ることです。そうすれば、その場で問題に気づき解決できます」と述べています。

これまで以上に、テストと品質エンジニアリングが、しっかりとしたCI/CD導入のための重要な基盤となっています。

顧客体験を反映したテストへの拡張

最後に、DevOps におけるテストの実態調査報告書から、複雑なカスタマー エクスペリエンスに合わせてQA チームがテスト戦略をどのように進化させているかが分かりました。利便性がますます求められている今、企業はユーザーとの価値ある関係をつくるためにデジタルエクスペリエンスの品質を最重視することが大切です。

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本調査では、2023年のテスト戦略における優先事項として、さまざまな回答が得られました。幅広い種類のテストが自動化の対象として挙げられたものの、自動化の目的は共通して「カスタマーエクスペリエンス」でした。

QAの専門家が最も懸念するAPIテストは、変わりゆく開発のプラクティスへの適応を目指す品質チームには不可欠です。スタンドアロンAPIテストは、開発のコーディング段階で開発者がトリガーして早期のフィードバックを得られるので、シフトレフトを実現し、品質の文化をつくるのに貴重なツールになることが期待できます。一方、エンドツーエンドテストに統合されたAPIテストは、カスタマージャーニーの一環であるAPIエンドポイントを直接検証することで、自動E2Eテストの効率を向上させます。これにより、QAと開発者はテストを加速化でき、標準的なE2EテストよりもはやくAPIの破損による問題を特定することができるので、全体的なテストの効率が最大化され、テストカバレッジも向上します。

デジタルトランスフォーメーションの実現

2023年は、テスト戦略の拡大や品質エンジニアリングの採用、組織内での品質の重要性などによって、品質の専門家たちにとっては躍進の年となることが期待されます。品質の文化を定着させ、CI/CDパイプラインにテスト自動化をより一層組み込み、さらなる改善を加えたソフトウェアテスト戦略でカスタマーエクスペリエンスを向上させることを目標に、QAはデジタルトランスフォーメーションの新しい波をリードしていく存在となるでしょう。

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