開発ライフサイクル全体にテストを組み込むという品質エンジニアリングを採用するチームが増えるにつれて、ソフトウェアテストの成功とカスタマーエクスペリエンスの向上の関連性がますます強くなってきています。企業は、開発全体において品質を優先させることで、顧客満足度とユーザー維持率を向上することができます。mablのDevOpsにおけるテストの実態調査がこの関連性をはっきりと示しており、テストカバレッジが高い企業が「顧客満足度が高い」と答える傾向は、テストカバレッジが低い企業と比べて３倍も高くなっています。
テストカバレッジが顧客満足度につながることが、図表から見て取れます。
品質エンジニアリングチームは、顧客のニーズに合わせてテストカバレッジを調整することで、テストカバレッジが顧客満足度にもたらす影響力を身をもって感じることができます。もちろん、多くのチームが、できるだけ高いレベルのテストカバレッジを達成することを望んでいます。しかし実際は、新しいコードを毎日デプロイするなど、アプリケーションの進化速度が早まる中で最低レベルのテストカバレッジさえ確保できていないチームが少なくありません。品質リーダーには、効率を最大化するために、データを十分に活用し、ユーザーエクスペリエンスの質低下につながるテストカバレッジのギャップを見極めることが求められています。
Sensormatic のQAディレクター、Adeeb Valiulla氏は、顧客とのつながりを重視したテストカバレッジに対するチームのアプローチについて、こう話しています。「お客様の幸福度と感情を理解することで、アプリケーションで最重視される部分を集中的にテストし、全体的な顧客体験を向上することができるのです。」
テストカバレッジを拡大する上で、顧客のニーズや好みは考慮すべき要素の一つです。PDFテストやメールテスト、アクセシビリティテスト、Microsoft Edgeのクロスブラウザテストなとは、テストカバレッジ拡大においてしばし軽視されており、これが大きな課題となっています。
メールは、組織をユーザーや見込み客につなげる大切な手段です。金融機関から小売業者に至るまで、顧客は自分が利用する企業からの、マーケティングキャンペーン、アカウント通知、ステータス更新などの情報提供を期待しています。メールを使いながらもテストをしっかりと行なっていない企業は、購入などの顧客エンゲージメントに悪影響を与えるバグを見逃してしまっているかも知れません。
ただ、メールテストは複雑で、ここが課題となっている企業も少なくありません。API、モバイル、PDF添付ファイルなど様々なシナリオを考慮する必要があるため、品質チームにとって効果的なメールテスト戦略を立てることは大きな負担です。 ローコードテスト自動化によってテスト作成とメンテナンスをストリームライン化できれば、品質チームは製品開発スピードを下げることなくあらゆるメール関連のシナリオをテストすることができるようになります。見込み客との関係を育てる、過去のユーザーに再度アプローチする、既存顧客の購入を確認するなど、メールの目的が何であれ、品質エンジニアリングチームは顧客の求めるニーズに応えることができるようになるでしょう。
世界人口の推定15%が何らかの身体障がいを持っており、米国において視力障がいは最も多い障がいの一つとされています。よって、企業には、誰にでもアクセスしやすいサービスを提供することが求められています。デジタルファーストのエクスペリエンスへの移行に伴い、このニーズはさらに増しており、Twitterなどの主要テクノロジー企業はアクセシビリティを大幅に改善し、米国司法省も Webアクセシビリティに関する新しいガイダンスを発表しました。
しかし、「a11y」とも記載されるアクセシビリティの管理は、多くの場合、ソフトウェア開発組織の外部に完全委託されています。アクセシビリティが顧客の包括的なアプリケーションやサイト体験に求められているにも関わらず、この作業が外部に任され時折の監査のみによってチームが関与しているということで、品質戦略における一般的なズレを生んでいます。自動化されたアクセシビリティチェックを既存のエンドツーエンドテストに組み込めば、限られた労力で最大限により幅広い顧客層に対して製品を提供することができるようになります。品質エンジニアが数回クリックをするだけで、膨大な数のユーザーの顧客体験が向上するのです。
一般的には、Microsoft Edgeはあまり目立った存在ではないかも知れません。しかし、ほとんど話題にもならなかったこのウェブラウザは最近、AppleのSafariを上回り、２番目に人気のあるデスクトップブラウザとして評価されました。その理由は、セキュリティと機能面から Microsoft Edge を好むエンタープライズユーザーが多いことにあります。保険、銀行、エンタープライズテクノロジーなどの業界は、依然としてMicrosoft Edgeを信頼できるブラウザとして利用しているので、これらの企業を顧客とする品質チームは、ソフトウェアテストにMicrosoft Edgeを考慮する必要があります。ただ、クロスブラウザテストのスケーリングには時間がかかります。クロスブラウザテストが自動化されている場合でも、テストメンテナンスは避けられず、関連するすべてのブラウザに連続的にテストが実行されるための時間、テスターは待つことしかできないのが無駄なコストに繋がっています。
しかし、mablのインテリジェントなテスト自動化ソリューションは、迅速なフィードバックと無限のスケーリングのための、クロスブラウザテストの順次実行やブラウザ間での無制限な並列テスト実行を可能にします。また、テストをさらに加速化するために、Chrome、Firefox、Safari、Internet Explorer、Microsoft Edgeで機能する単一のテストをローコードテスト自動化で作ることができます。品質の専門家たちは、クロスブラウザテスト戦略にMicrosoft Edge を簡単に組み入れることができるので、あらゆる顧客に対する優れたユーザーエクスペリエンスが提供可能となります。
テクノロジーのトレンドは、ペースの速いDevOpsの世界ではとりわけ、絶えず変化しています。製品ベロシティを加速化し顧客体験を向上させるためのソフトウェアテストと品質エンジニアリングに成功するのにQAチームに最も求められるのは、ユーザーの視点に焦点を当てることです。相手を惹きつけるメール、アクセス可能なアプリケーション、Edgeのスムーズなユーザー体験など、顧客のニーズに合ったテスト戦略を構築することが、顧客満足度を高める鍵と言えるでしょう。
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また、 2022 年版 DevOps におけるテストの実態調査報告書にて、実社会におけるDevOps 導入の状況や、組織がどのようにカスタマーエクスペリエンスを向上させアジャイル化を進めているか、ぜひご覧ください。