今日のエンジニアリングチームやQAチームを取り巻く環境には、AIを活用したテストオーサリングツールの選択肢が溢れかえっています。どのツールもテストの高速化と品質の向上を謳っており、自分のチームにとって正しいツールを選ぶのが難しい場合があります。

そこで私たちは、みなさんが周囲の雑音に流されず最適な選択をし、高品質で迅速なソフトウェアデリバリーをできるように、AIを活用したオーサリングのさまざまなアプローチについての包括的なガイドを用意いたしました。主要なアプローチの基本、AI活用によるアプローチの強化、およびメリットとデメリットを説明しています。インテリジェントなテスト自動化のパイオニアであるmablは、テストオーサリングプロセスの簡素化と合理化への取り組みにも力を入れています。mablのインサイトが、みなさんの品質目標達成に必要なツールや戦略の選択に役立つことを願っています。絶え間なく変化するユーザーからの期待や市場の変化に直面しても、信頼性の高いソフトウェアの提供に向けて活用していただきたいと考えます。

多様化するAI活用のテストオーサリング環境に対応する

AIを活用したテストオーサリングツールはますます多様化しており、その中から正しいツールを選ぶことは決して簡単ではありません。ここでは、オーサリングへのアプローチがAIによってどう強化されるのかを、メリットとデメリットを併せて詳しく見ていきます。最適なツールを選ぶ上での参照ガイドとしてぜひご活用ください。

アクションの記録:テスト自動化のための直感的アプローチ

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概要:
「アクションの記録」はローコードテスト自動化の土台と言えるでしょう。ユーザーとアプリケーションとのやりとりを記録することにより、クリックやテキスト入力、ナビゲーションなど、実際のユーザー体験を模倣したテストが作成できます。この方法は、ユーザーとアプリケーションの実際のやりとりを最もストレートに再現できるため、シームレスなユーザー体験を確保するために有効です。技術的な専門知識をほぼ必要とせず、直感的に簡単に利用できるアプローチです。

このアプローチを採用したツールとプラットフォーム:
mabl, Testim.io, Katalon Studio, Leapwork, Autify

AIによるアプローチの強化:
mablのようなAI搭載のプラットフォームは、操作対象の要素に関する文脈情報を取得することで、記録操作の精度を高めます。これにより、従来の記録と再生によるソリューションよりもはるかに安定性の高いテストを実現できます。また、AIはテストの不安定さを事前に予測し、不安定なテストが作成される前にユーザーに説明を求めることで、最初からテストを堅牢なものにすることができます。これらのツールは、技術的知識が浅い人でもPDFやメールなどの幅広いアプリケーションのテストを可能にします。AI活用による自動修復機能は、アプリケーションのUIの変更に合わせてテストを自動的に更新し、メンテナンスを効率化します。

メリットとデメリット:
AIを活用した「アクションの記録」のメリットとして、「使いやすさ」「テスト作成のスピード」「ユーザー体験との合致性」が挙げられます。これは、コーディング能力の低いチームや、テストカバレッジの迅速な確立と拡張が必要なチームに適しています。ただ、使用するプラットフォームにカスタムコードを追加するための十分なスケーラビリティが備わっていないと、複雑なテストシナリオやエッジケースのテストシナリオを適切に処理できない場合があります。テストエディタに多くの機能を備えたmablのような最新のソリューションでは、ローコードでカバーできるシナリオを最大限に活用しつつ、必要に応じてコーディングでネイティブ機能を拡張することができます。インテリジェントなAI搭載機能が統合されているプラットフォームであれば、このアプローチの効率性は高く、長期的に見ても価値あるテストソリューションだと言えます。

あなたのチームに適したアプローチであるか:
「アクションの記録」は、テスト自動化を使い始めたばかりのチームや重要なユーザーフローの迅速な検証を求められるチームなどにとっては、まず採用してみると良いアプローチです。AI がソリューションの中核を担っている場合には、テスト脆弱性の軽減と全体的なテスト品質の向上にも役立ちます。適切なツールを選ぶことで、複雑なシナリオやエッジケースを処理するのにコードを拡張することができ、開発者と非技術的なテスターの両方が品質を担当するチームにとって、優れた選択肢だと言えます。

自然言語記述: 誰でもがテストに参加できるアプローチ

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概要:
自然言語記述は、テストケースを平易な英語で記述し、アプリケーションで期待する動作を表現するアプローチです。この直感的なアプローチは、技術的な経験や知識を持たないユーザーにも使いすく、開発プロセスのシフトレフトおよび専門知識の有無を問わないあらゆるチームメンバー同士のコラボレーションを可能にします。

このアプローチを採用したツールとプラットフォーム:
testRigor, Functionize

AIによるアプローチの強化:
今、生成AIモデルによって自然言語でのテストオーサリングが劇的に変化しています。AIが自然言語による指示を実行可能なテストスクリプトに変換できるため、テスト作成に必要な時間と労力が大幅に削減されます。

メリットとデメリット:
自然言語を使った自動テストの動作記述によって、技術的知識がないユーザーでも簡単で直感的にツールを使うことができます。ただし、このアプローチがうまくいくかどうかは、AIモデルの成熟度の高さと指示内容の明確さにかかっています。現時点では、一般的なAIモデルは、人間によるアウトプットの検証や編集にまだまだ頼っています。さらに、複雑なシナリオではとりわけ、アプリケーションを直接操作する方がスピーディで正確、かつ実際のユーザー体験に近いため、効果的なテスト作成にはさほど役に立たないこともあります。最後に、このアプローチは、AIによるテストのメンテナンスがなければ、従来のテストフレームワークに採用した場合、メンテナンスに多大な労力を要する、脆弱で品質の低いテストが作成される可能性があります。

あなたのチームに適したアプローチであるか:
AIモデルが更に洗練され信頼性が高まるにつれて、自然言語プロンプトの効果的な作成と活用は、チームの自動テスト作成スピードの向上に不可欠な能力となるでしょう。しかし、AIモデルがテスト要件の大部分を満たすほどの成熟していないのが現状です。そこでmablでは、「みなさんがインプットに主に自然言語を用いて高品質で高信頼性の自動テストを作成できること」を最終的な目標とし、この機能の開発に積極的に取り組んでいます。

スクリプティング(コーディング):精度とカスタマイズができること

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概要:
スクリプティング(コーディング)には、Selenium、Playwright、Appiumなどのプログラミング言語とフレームワークを使用してテストケースを作成することが含まれます。これは、従来のテスト作成方法で、柔軟性が高く調整しやすいため、テスターが複雑なシナリオに対して高度にカスタマイズしたテストを作ることができる方法です。

このアプローチを採用したツールとプラットフォーム:
Selenium, Playwright, Cypress, Appium

AIによるアプローチの強化:
AIを活用したコーディングのサポートは、スクリプトベースのテスト自動化の変革に貢献しています。これらのツールは、コードスニペットの提案やテストの潜在的エラーの特定、テストスクリプト全体の生成を可能にします。その結果、開発者の生産性とテストコードの品質が大幅に向上します。

メリットとデメリット:
スクリプティング(コーディング)は、複雑なシナリオを対象とする高度に調整されたテストに最適です。AIと組み合わせることで、開発者の生産性は向上します。また、単体テストのオーサリングや特定のフレームワークでのテストケースの書き方を学ぶのにも効果的です。しかし、専門的なコーディングスキルやエンドユーザーのワークフローに関する専門知識が依然として求められるため、アプリケーションが進化するにつれ、経時的なテストメンテナンスがさらに必要になるでしょう。また、チームによっては、テストフレームワークを使いこなせるようになるまでの初期投資が障壁となることもあります。最後に、このアプローチは静的な要素ロケータに依存しているため、作成されるテストが壊れやすく不安定で、頻繁な失敗につながり、自動化されたテストの信頼性を下げることになる可能性もあります。

あなたのチームに適したアプローチであるか:
これらは、Playwright や Selenium のようなテストフレームワークをすでに使いこなしている方々には非常に役立つツールです。しかし、経験や知識を備えた品質エンジニアといった「ヒト」の代替ではなく、また、テスト記述経験のない人には役に立ちません。また、フレームワークそのもののデプロイとメンテナンスに大きな負担がかかるため、通常はエンジニアを専任で配置する必要があります。mablは、スケーラブルなテストプランの作成をサポートするローコードプラットフォームと、複雑なシナリオやエッジケースをターゲットとするコーディングのサポートという、両方の利点を兼ねた設計になっています。

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mablのプラットフォームは、ローコードエディターでアクションを記録できるようになっています。また、生成AIによるスクリプト生成機能により、必要に応じてコードで機能を拡張することも可能です。

ユーザーストーリーと受け入れ基準:要件に合わせたテスト

image3-Aug-08-2024-07-12-33-8415-PM概要:
このアプローチは、Gherkin記法のような特定の構文を使って開発中に定義されるユーザーストーリーや受け入れ基準に、自動テストを直接リンクさせることができます。これらのテストは最初に定義されるので、機能の実装にあたってテストが指定された要件を満たしているかどうかを検証するのに役立ちます。

このアプローチを採用したツールとプラットフォーム:
Cucumber (ガーキン構文を使用してユーザーストーリーと受け入れ基準を定義するBDDフレームワーク)、TestSigma

AIによるアプローチの強化:
AIは、ユーザーストーリーと受け入れ基準をテストケースに変換し、その記述からテストスクリプトを自動生成し、テストプランの完成に役立つ追加シナリオを特定することができます。

メリットとデメリット:
ユーザーストーリーと受け入れ基準によって定義されるため、機能要件にフォーカスできることは大きなメリットです。これによって、機能の正しい実装、そして理論上でユーザーのニーズを満たしていることを保証できます。しかし、基礎となるテストがスクリプトに依存していることから、このアプローチはスクリプトベースのテスト自動化と同じデメリットを抱えています。つまり、テストスクリプトの生成をAIに委ねたとしても、作成されたテストが期待通りに実行されるかどうかの確認は人間に頼っていることが多いのです。さらに、各テストのテストスコープが限られ、要件として定義されるため、エンドツーエンドのユーザーシナリオをすべてカバーできるわけではありません。

あなたのチームに適したアプローチであるか:
このアプローチに価値があるのは、機能の実装と、ユーザーストーリーおよび受け入れ基準によって定義された要件が確実に満たされている場合のみに限られます。しかし、最新の複雑なアプリケーションにつきものの微妙なエンドツーエンドユーザー体験は反映されません。そこで、エンドユーザーの実質的な体験に焦点を当てたRecording Actionsのような別のアプローチと組み合わせることが望ましいとされます。

実際のユーザー行動を観察:実世界の行動に基づいたテスト

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アプリケーション内の実際のユーザーの行動を観察し分析することで、一般的な使用パターンや潜在的なボトルネック、エラーが発生しやすい領域を特定することができます。そして、実際のシナリオに基づいたやりとりを再現するテスト作成が可能になります。

このアプローチを採用したツールとプラットフォーム:
Checksum

AIによるアプローチの強化:
AIを搭載したアナリティクスツールやオブザーバビリティ(可観測性)ツールは、膨大な量のユーザーデータから選りすぐったデータを使って主要なユーザーフローを自動的に特定し、潜在的な問題にフラグを立てることができます。チームはこれを使って、ユーザー体験に最も影響のある領域について、テスト作成の優先順位をつけることができます。

メリットとデメリット:
このアプローチのメリットは、実際のユーザー行動に焦点を当てている点です。テストが実世界での使用パターンを反映しているかどうかを確かめ、他のテスト方法では浮き彫りにならない問題を発見することができます。しかし、すべてのエッジケースをカバーすることは不可能で、さらに、ユーザーにリリース前の新機能をテストする場合には、テスト作成についての十分なデータがないので、さほど効果的ではありません。また、技術やセキュリティ、コンプライアンスなどによる制約から、本番環境においてユーザーデータをいつでも取得できるわけではないことも課題です。

あなたのチームに適したアプローチであるか:
実際のユーザー行動を観察することは、どのようなテスト戦略にとっても貴重な要素ですが、それだけを唯一の戦略要素とするのではなく、他のテスト作成要素を補強するために使うことが理想的です。これは、既存のテストカバレッジの問題特定にとても効果的なアプローチです。問題の特定ができたら、mablのようなツールを使用して対応することができ、シームレスなユーザー体験の保証と信頼性の高いスケーラブルなテストの作成が可能になります。

AIを活用したテストの未来を受け入れる

ソフトウェア品質の未来は、テスト分野におけるAIの継続的進歩と密接に絡み合っています。現在、さまざまなAIを搭載したテスト作成ツールが存在し、チーム独自のニーズや課題に合わせてテスト戦略をカスタマイズできる多様なツールキットが用意されています。ユーザーの行動を記録するといったシンプルなタスクから、自然言語による記述や正確なスクリプト作成といったより複雑なタスクまで、作成やメンテナンス、実行などのあらゆるテストのプロセスをAIが変えています。

どんなチームでも高品質なソフトウェアを自信をもって迅速に提供できるようになる未来…これがmablのビジョンです。AIを活用したテスト自動化のリーダーとして、最もインテリジェントで効率的かつユーザーフレンドリーなツールを提供するために常に革新的な取り組みを続けています。AIの活用が、新たなレベルの品質、開発サイクルの加速化、ユーザー体験の向上につながると信じています。

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