何十年もの間、手動テストがソフトウェアテストの一般的なやり方として業界をリードしてきました。手動テストは顧客が実際に製品を使用する前に、ユーザー体験をエミュレートする最もシンプルな方法だからです。 探索的テストやアドホックテスト、UXテストやユーザビリティテストのように、手動テストが望ましい場合もあります。しかし、ソフトウェアがより複雑になるにつれて、テスト自動化戦略は、時間的コストを削減し、手動テストに代わるコスト効果の高い方法として注目を浴びています。
では、テスト自動化の具体的なメリットは何でしょうか。テスト自動化を導入することで、メリットを得ている企業の事例なども併せて、詳しく見ていきましょう。
テスト自動化のメリット
経験豊富な開発担当者が細かく調整した手動テスト戦略があったとしても、自動テストには以下のような潜在的なメリットがあります:
定期的に行うテスト業務にかける時間を短縮
手動テストは、非常に時間がかかります。そのため、一人が与えられた時間内にカバーできるテスト範囲が限られ、特にソフトウェアが進化するにつれて、スケールしづらくなります。それが原因で、担当者が新たな機能を開発したり、スキルを習得したりする時間が削られてしまう可能性もあります。これは、適応力のあるソフトウェア開発組織を維持するためには致命的なことです。
自動化されたテストはQAプロセスのスピード感を大幅に高め、開発チームはバグが本番環境に紛れ込むことを心配することなく、より迅速に製品を提供することができるようになります。テスト自動化ツールがより高度になるにつれて、リグレッションテストのような毎回行うルーティンタスクは、常に手作業で実施する必要がなくなり、自動化に任せて実行できるようになりました。テストに費やす時間を約80%削減することに成功した企業(事例:GAテクノロジーズ)もあります。テスターや開発担当者は、新機能や新製品のような重要な案件への取り組み、テスト実践範囲やエンドツーエンドテストの拡大などに集中することができ、組織全体の品質向上と自身のスキルアップにつなげることができます。
テスト実践範囲の拡大
手動テストのみを主軸にした戦略では、実施できるテストの数が本質的に制限されます。また、担当するテスターの経歴やスキルセットに大きく依存することになります。テスターひとりひとりが手動でテストを行う場合、同じテスト結果を再現するのは難しく、業務レベルにばらつきが出て、一定の品質を担保できなくなってしまうのも課題のひとつです。
自動テストは、全体的なテストの実践範囲を向上させます。それにより、テスターは、テスト(エッジケースを含む)をより詳しく書くことに時間を割くことができるようになります。さらに、手動テストに対して、自動テストは異なる構成・異なるパラメータに基づいた多数のテストを同時に実行することが可能です。これにより、開発者、プロダクトオーナー、そしてカスタマーサクセスチームまでもが、QAチームのリーダーシップのもとでテスト業務に貢献できます。ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通じて品質文化を醸成することができるのです。
社員のモチベーションを高める
成長と学習の機会は、特に若手社員にとって、職場への定着率を左右する重要なポイントになりつつあります。製品を長年担当していたり、顧客体験に関する知識を持ち合わせていたりと、貴重なアセットを持っていても、手動テストに時間がかかり、それ以外の時間が限られているケースが多く見られます。テスターがテスト業務だけに専念していると、全体的な品質戦略や、DevOps、DXのようなより高度な取り組みに貢献する機会が失われてしまうのです。このような貴重なリソースを十分に活用できないと、品質戦略が停滞し、テスターが他での成長を求めて離職率の増加に繋がります。
自動テストに切り替えることで、品質担当者は、より重要で価値の高い活動に時間とエネルギーを注ぐことができるようになります。テスターに、リーダーとしての役割、エッジケースのテスト、学習のための時間をより多く提供することで、社員のモチベーションと定着率を向上させ、彼らの潜在能力を最大限に引き出すことに繋がるのです。
ヒューマンエラーを回避
どんなプロセスでも人を巻き込むと、必ずヒューマンエラーの危険性が生じます。テストを完全に手作業でのプロセスとして行っている場合、思わぬミスが発生する可能性が非常に高くなります。場合によっては、新しいテストを始める前にブラウザのCookieをクリアするのを忘れるなど、手動テスターの仕事量も増え、開発プロセスをさらに遅らせることにもなりかねません。
自動テストは、エラー発生のリスクを低減します。また、すべてのステップが自動的に記録されるため、問題が発生した場合はすぐにその箇所を特定し、対処することができます。
自動テスト戦略の導入
もしビジネスに自動テスト導入を検討している(もしくはこれから検討しようと思っている)のなら、それを成功に導くたけの具体的なステップをご紹介します:
自動化できるもの、自動化すべきものを見極める
自動テストは、手動で行う多くの作業を削減することはできますが、これによって手動テストの必要性が完全になくなるわけではありません。実際、手動テストと自動テストは、担当者から補完的なスキルセットとしてみなされることが多いものです。自動テストに移行する最初のステップとして、チームの時間とスキルを最大限に活用するために、両タイプのテストをどのように利用できるかについて検討するところから始めることを推奨しています。
最適なテスト自動化フレームワークを見つける
どのテストを自動化できるか・したいかを把握したら、目標を達成するためのテスト自動化ツールの検討を始めてみましょう。コードを多用するフレームワークを好むテストソリューションもあれば、完全にコードレスな最新のツールもあります。また、mablのように、ローコードなUIを備え、ユーザーのコーディング経験の有無に関係なくテストを作成・実行できるものもあります。最適なソリューションは、チームのスキル、自動化が必要なテスト、組織のソフトウェア開発プラクティスによって異なります。
少しずつ試し、拡大していく
手動テストから自動テストへの移行を成功させるのは、テスター自身です。チームを成功に導くために、テスト自動化ソリューションを最初に試す「アーリーアダプター」を選出し、順番に人数を増やしていきます。より多くのメンバーの移行する準備が整った段階で、ベストプラクティスを確立します。これにより、ソフトウェアテストチームは、製品、組織、および品質目標に最適なテスト自動化戦略を策定することができます。
自動テスト戦略のスケールアップ
各自動テストがすべてスムーズに実行されていることを確認したら、アプリケーション開発プロセスのすべての段階を通して、自動テストプロセスを拡張しましょう。テストを開発パイプライン全体を通して、早い段階から何度も実行する品質文化を確立することで、バグをより早く発見し、より少ない労力で修正できることが理想です。
データ駆動型品質エンジニアリングの導入
テスト結果は改善のための重要な指標となります。 アプリケーションが進化するにつれて、テストニーズも変化 / 進化します。したがって、テストプロセスを自動化する機会を常に模索する必要があります。より多くのルーティンタスクが自動化されることで、担当者は、製品や組織に合わせて継続的に改善する、適応性と回復力の高い品質エンジニアリング戦略の開発に焦点を絞ることができます。テスト業務に自動化を組み込むことは、開発プロセスのスピードと精度を高めるだけでなく、DevOpsの実現も促進します。手動テストと自動テストを組織全体でバランスよく行うことで、製品の品質に全幅の信頼を寄せながら、迅速なイノベーションを行うためのより良い環境を整えることができます。
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